相談の概要
本件では、就労継続支援B型における運営指導において、職員の勤務時間が少ないとして、人員基準を満たしていないとの指摘がされました。具体的には、労働基準法上求められる休憩時間を勤務時間から除いておらず、その結果、休憩時間相当分の配置時間が不足していることになるとの指摘でした。
人員基準を満たさない場合、人員欠如減算を算定する必要がありますが、この事業所では人員欠如減算は算定しておらず、行政の指導に従えば、約4000万円の報酬返還が発生することが見込まれました。
事業所としては、このような返還が認められてしまえば、事業運営に多大な影響が出てしまい、サービス提供の継続自体が危ぶまれる状況でした。
そこで、詳しく確認したところ、利用者の支援には法人の役員も入っていたことがわかり、その実態を見れば、実際には人員基準を満たしていると主張できる可能性がありました。
解決結果
最終的には、ほとんどの月について、人員基準を満たしていると判断され、それでもなお人員基準を満たしていなかった月に関してのみ約100万円の報酬返還をし、終結しました。
問題解決のためにサポートした内容
本件では、事業所を運営する法人の役員も、利用者の支援に入っていました。役員は、労働基準法の適用を受けないので、法的には休憩時間を取る必要はありません。実際この役員は日中休憩を取らずに支援に入っていました。
そして、この役員の勤務時間について、休憩時間として除外された時間を配置時間に加算できれば、ほとんどの月について、人員配置時間が十分で人員基準違反ではなくなる状況でした。
そこで、行政担当者と直接面談し、役員には労働基準法が適用されないこと、役員は休憩を取らず勤務していたこと、そのため、役員の勤務について休憩時間として除外された時間も勤務時間に含めることができることを説明しました。
その結果、行政は、当該役員について休憩時間として除外された時間も勤務時間に含めることを認めました。それでも一部の月については、職員の配置時間が満たされていなかったため、配置時間が不足していた月について人員欠如減算相当額の約100万円を返還し、終結しました。
担当弁護士からのコメント
弁護士米澤 晃行政から報酬返還を示唆・指導されたとしても、必ず報酬を返還しなければならないわけではありません。
ただ、今回のような理論的な反論については、事業者が直接行政に伝えても、取り合ってもらえない場合がほとんどです。残念ながら、同じ指摘をしたとしても、事業者による指摘は受け入れられず、弁護士が指摘すると受け入れられるという状況です。
弁護士法人かなめでは、報酬返還を争う案件を多数手がけています。多額の報酬の返還を示唆・指導された際に、理論的に反論ができるか、理論的に反論ができないか検討したい場合には、ぜひ弁護士法人かなめにご相談ください。



















