相談の概要
本件は、訪問介護事業所の監査対応です。監査が入ったあとに相談がありました。
監査では、行政庁から事業者に対して、同一建物減算を不当に免れている不正請求であると指摘されていました。
もっとも、事業者としては、適法に同一建物減算を算定しなくて良い仕組みを作っていると認識しており、ましてや同一建物減算の算定を免れることにより不正請求をしようという意図は全くありませんでした。
本件では、事業規模が大きく、同一建物減算の未算定が指摘されている期間も長かったため、不正請求が認定されてしまうと、不正請求額も多額になり、重い行政処分も想定される状況でした。
解決結果
ほかにも違反事由があったため、軽微な行政処分は受けましたが、不正請求の認定はされませんでした。
問題解決のためにサポートした内容
ご依頼をいただいたタイミングでは、行政としても、重い行政処分をする予定なのだろうなという雰囲気を強く感じましたし、すぐに行政処分をしようと考えているように見えました。
もっとも、事業者が不正の認識をもっていなかったので、行政のヒアリング調査に何度も同行し、法人内の請求に関する業務フローや関与する職員、役員の認識をしっかり説明し、不正請求ではないことを繰り返し時間をかけて行政に説明しました。
このような説明が適切に行政に伝わったため、不正請求の認定がされなかったのだと思います。
担当弁護士からのコメント
弁護士米澤 晃不正請求というのは、その日本語としての文言上、本来報酬請求要件を満たさないことを知りながら、あえて請求をしたことを指すはずです。
ところが、多くの行政庁では、何をもって不正請求と捉えるのか、誰の、いつの時点の、どのような認識をもって不正請求の認識と考えるのかなどについて、十分な検討をせずに、感覚的に不正請求であるかどうかを決めていると思われるような事例が散見されます。
特に、指定基準、報酬基準は非常に複雑で、理解が難しいことが多いです。このような状況からすると、単に報酬要件を満たしていない請求があったからといって、当然に不正請求になるわけではないはずです。
ただ、このような主張は、事業者が直接行政に伝えたとしても、行政の認識は変わらないことが多いです。弁護士が法的な根拠に基づいて説明することで、初めて行政の認識が変わることが多いので、不正請求が疑われている場合には、弁護士が関与する必要性が非常に高いと考えます。
不正請求の意図がなかったのに、不正請求だと指摘されているような場合は、弁護士法人かなめにご相談ください。



















